デブスの不思議な旅 ~恋と変と狂愛?と~

作りかけの練習用髪紐を握ったままうつむいてしまった桜を、アラ?と拍子抜けしてのぞき込んだ。

てっきり、『そんなわけないじゃないですか!!もう!』と来るかと思ったのだが。

耳まで赤くして、固まっている。

「え……まさか……ホントに?」

シディは口元を両手で覆い、驚愕した。

「ま、ま、まさかアナタ、もう角煮になって食べられ」

「ちちち、違います!そそ、そんな事は、してません!」

弾かれたようにわたわたと否定した。

「……でも、求められたのね?」

「うっ…………」

肯定の返事の代わりに固まる。

王からその身を望まれたが、それに応えてはいない。
が、処罰や追放を受けてはいない。

改めて、桜への主君の恋着ぶりを目の当たりにしたのだった。