デブスの不思議な旅 ~恋と変と狂愛?と~

桜がおののきながらうなずくと、シディがずいっ、と顔を寄せた。

「アナタ、まだアスナイちゃんだけに作る気?」

「?はい…お礼ですし」

「……お礼を言わないといけない御方は、他にもいらっしゃるんじゃなくて?」

(相変わらずクソ鈍いわね)と思いながら言う。

「シュリさんは…髪、短いですよ」

「何でそうなんのよっ、子豚っ!髪紐を使う方で、アンタが日々お世話になってる方がいらっしゃるじゃないのっ!」

イラッとして目を三角にするシディに、桜はようやく気づいた。

「あ……王様か」

「そーよ。アナタ、ずっと我が君のおそばで守られてて、お礼の一つもしてないんでしょっ。髪紐くらい献上なさいよ」

「んー…でも、身につけるものって嫌いみたいなんですよね。迷惑じゃないかなあ」

「何よ、労力と真心以外、アナタがあの方に捧げられる物ってないじゃないのよ。富も地位も美しさも聡明さも、ぜーんぶお持ちだもの」

もっともな指摘に、うなずくしかない。

まあ、気に入らなければ処分するだろう。要はお礼の気持ちだ。

その時シディが、

「それとも何、身体でも求められたかしら?」

ホッホッホ、と軽く意地悪を言ってやったのだが。

「……………………」

“……抱きたい…”

切実な熱を帯びた彼の言葉を思い出した桜は、真っ赤になった。