デブスの不思議な旅 ~恋と変と狂愛?と~

「もう、物騒だなあ、王様もカナンも」

困ったように苦笑いする。

「笑い事じゃない」

少し怒ったような声で、座ったまま彼女をぎゅっと抱きしめた。
そのまま、なでていた頬にそっと唇を当てた。

「ひゃ…か…カナン………な、何を」

びくっと肩を震わせて、きゅっと目をつぶる。


とその時、フラウとルネが、夕餉の膳を持ってくるのがカナンの目に映った。
桜は二人に背を向けているため分からなかったが。

二人の女官は目線を上げ、ハッとした表情をすると、顔を赤くして固まった。

カナンは慌てることなく桜の頬に唇を寄せたまま、目線だけを二人に投げる。

彼女に気づかれないようにフッと笑って、スイ、と指で二人に『来るな、戻れ』という指示をし、すぐに桜に目を移して、また頬に何度も優しいキスをした。

女官に、この貴重な時間を邪魔されたくはない。

それでもし仮に自分と桜が宮の中で噂になったとしても、別に構わなかった。