デブスの不思議な旅 ~恋と変と狂愛?と~

どうしようかな、と一瞬迷ったが、何だかカナンに隠し事は出来ないし、したくない。

そっと顔を寄せた。

「な…何だよ」

まばたきを多くして、もう少し頬を染めた。

「……誰にも言わないでよ?」

こそ、と小声で言う。

今日の事をこそこそ話すと、目をみはり、すっと顔を青くした。

「おま………見つかったらどんな目にあったと思ってんだ!王をかどわかした罪で近衛に殺されるぞ!」

「だから最初は止めたのよ、カナンにも話して一緒に止めてもらおうとしたんだけど…王様、あっさり近衛も文官も出し抜いちゃって」

眉間に指を当てて、やれやれと首を振った。

「我が君の聡明さが、そんな事に活かされたとは…嘆かわしい」

「でも、楽しそうだったよ。怖い目にもあったけどね」

「怖い目?」

カナンの目がすっと細められた。『魔』の事はふせて、あの男に叩かれた話をすると、みるみるうちに頬が強張る。

「……我が君をお止めしなければよかったものを」

「そんなわけにはいかないよ。理不尽すぎるじゃない」

「多分、私なら殺していた。我が君は慈悲深い」

桜の、少しまだ腫れの残る頬に手を伸ばし、優しくなでた。