デブスの不思議な旅 ~恋と変と狂愛?と~

また同じルートを通って、無事に公宮の休憩室についた。

「ふふん、他愛もない。近衛とは言っても、やはりひよっこよな」

にやっと笑って、ゆうゆうと頭の布を取り、王の上衣を着た。

「いつものスタイルですね、王様」

マントや布をたたみながら、桜が言った。

はっ……と切ないため息をつく。

「……参ったな」

ポツリ、と桜を見て呟いた。

「?」

顔を上げる。

「一度でいいから、と思ったのに……どんどん欲が出る」

「え?」

「また、そなたと夫婦のように街に出たい。珍しい物を食したり、見たり。……出来たら、夜一緒に酒も飲んでみたい」

「王様、でもそれは……」

困った顔で桜が言うと、苦笑いしてうなずいた。

「わかってる。今日は特別だ。そう何度も王が王宮を空けるわけにはいかない」

「…………」

「それでも今日は貴重な一日だった。きっと、ずっと忘れられない」

そっと目を閉じて、一日を反芻する。

「……街に出るのはできないかもしれませんけど…お酒なら、王宮でも一緒に飲めるんじゃないんですか?」