デブスの不思議な旅 ~恋と変と狂愛?と~

また手を繋いで歩き出したが、その表情は対照的だった。

頰をわずかに染めて、胸の嬉しさがその微笑みににじみ出ている王は、少し足取りも軽やかだ。

一方で、自分も分からなかった心のうちがさらけ出されてしまい、恥ずかしくてまだ涙目の桜は、顔も上げられない。

(もう、早いとこ部屋に帰りたい……)

それだけを切実に思っていた。

王宮の門が近づくにつれて、夕日の光の色が濃くなっていく。

堀の手前で王はフードをかぶり、素知らぬ顔で通行証を見せる。

衛兵に問われる前に、

「これは私の妻だ」

そっと桜を抱き寄せて言う。

そのあまりに愛おしそうな様子に、いつも事務的な無表情で任務を遂行している衛兵も、少し赤面して一礼した。

桜にとっては羞恥の上塗りで、もうゆでダコのように真っ赤だったが、王は桜の肩を抱いたまま、にこにこと王宮内に入っていった。

桜が中にいた兵に早々に馬車を呼んでもらうように頼んで、到着するまで二人で待つ。