デブスの不思議な旅 ~恋と変と狂愛?と~

「……行きましょうか」

にこっと笑って、歩き出す。門をくぐり、林を抜けた。

堀に渡された橋の手前で、衛兵にとめられた。

「身分証をお願いします」

相変わらずの、職務に忠実な無表情。

それさえも新鮮なのか、王はフードの陰でくすりと笑って、自筆の通行証を出した。

「……なるほど、遠方から請願にいらしたのですね。確かに、これは我が君の通行証。了解しました」

一礼し、桜に目を移す。

「そちらの女性は?」

「………」

さっき持たせた、同じ通行証を出すように王が目でうながすが、桜はそっと彼に歩み寄り、その腕を取った。

「私は、この人の妻です。一緒に請願に来たんです」

「!」

小さく息を呑む王に、衛兵が聞く。

「…だそうですが。まことですか。奥様ですか」

「……ああ」

やっと、それだけ言う。

「分かりました。どうぞ」

衛兵が道を開け、二人は王宮の外に出た。