デブスの不思議な旅 ~恋と変と狂愛?と~

公宮の裏口に入る。さすがに午前中ほどの人はいないが、それでも武官や文官達は王の姿を見ると、深く礼をした。

「王様、そう言えば今、近衛さん達はどこにいるんですか」

「日中は公宮にいる。夕刻からは深宮の警備に当たるがな。……そら、来た」

いつの間に近寄っていたのか、音もなく王と桜の周りを、無表情で目線だけが鋭い武官たちがぐるりととり囲んだ。

その威圧感に、なんとなく目を伏せる。

こんな、アリ一匹逃さなさそうな人たちを出し抜くなんて、本当にできるのだろうか。

「さてと」

王が一つの部屋の前で足を止めた。

「桜、休憩室で少し話そう」

「えっ…は、はい……」

そして近衛たちに向かって言う。

「しばらく、客人と話をする。汝らは引き続き、公宮内と、この部屋の扉の前に控えておれ」

一斉に礼をした。

カラカラ、と戸を開けて、二人は部屋の中に入った。

「よし」

にやっと笑って、王はさっさと上衣を脱ぐ。

その上から、マントをはおった。幅広の布で頭をくるくるとターバンのように巻いていく。