デブスの不思議な旅 ~恋と変と狂愛?と~

すとん、とソファに腰かけ、背をもたせかけて脚を組む。

少しうつむいて、いかにも残念そうだ。

(う……)

チクチクと胸が痛んだ。

そっと隣に桜も座り、小さく聞いてみる。

「何で、そんなに街に行きたいんですか、王様」

少し間があって、口を開く。

「王として街に出ても、そこに住む国民たちの本当の日常は知ることはできない。道を掃き清め、交通を止めて、みな脇に寄って深く礼をする中を馬か馬車で通るのだ。声も、物音もしない」

「………」

「政治をする者として、王都がどれほどの街なのか、そこにいる人間の表情はどうなのか、見てみたかった。それに」

じっと、桜を見つめる。

「さっきも言ったように、誰に縛られるでもなく、そなたと普通の夫婦のように歩いて、アスナイやカナンのように何かそなたに贈り物をしたり、食事をしたりしてみたい」

王として失格なのかもしれんがな、と自嘲した。

「まあ……いい。そなたがこうやって近くにいてくれるだけでも、前からは考えられないくらいに私の日常は豊かになった。欲をかいてはキリがない」

そう言って、桜に微笑んだ。

「…………」