デブスの不思議な旅 ~恋と変と狂愛?と~

「つまらないなどということはない。この時間が、毎日の楽しみなのだから。………だが、一瞬でいいから、そなたと自由を味わいたい」

切実に揺れる紫の瞳を見ると、分かりましたと言いそうになる。

「でも、王様に何かあったら大変です」

「大丈夫だ、私は死なない」

「そうじゃなくて……」

今度は桜が、そっと王の頬に両手で触れた。

「痛い思いや、怖い思いをしてほしくないんです」

心配そうな表情で、自分を見上げる。

「………っ」

いじらしさに、きゅうっと胸が絞まる。

「お願い、王様。自分を大事にして………」

いつしか、桜は本気で訴えていた。

(くっ………)

可愛い。
自分の身を心から心配してもらえるというのは、こんなに嬉しいものなのか。

目を細めて、自分の両頬に添えられた彼女の手を握る。

「反則だ………そなた」

一旦唇をかんで、はあ……とあきらめのため息をついた。