デブスの不思議な旅 ~恋と変と狂愛?と~

戸惑う桜は、部屋の中をウロウロと歩き回った。

(どうしよう、私があんな事言ったから……王様、すっかりその気だよ)

いっそカナンに話して一緒に止めてもらおうか。

でも、あんなに楽しそうにしてたしな……いやでもコレがばれたら、私殺されるんじゃ?
それに何より、王様に何かあったら……

しばらく考え、うん、とうなずいた。

「カナンに話そう」

意を決して、戸口に向う。帳を払おうと手を伸ばした時、王が同じタイミングで姿を見せた。

「わぁ!」

飛び上がって驚く彼女を一瞬目を見開いて見たが、にやっと笑った。

「どこへ行くつもりだった?桜。私を出し抜けるとでも思ったのか」

片手に抱えて来た物をバサリと放り、両手で桜の顔を上向かせた。

意地悪な声とは裏腹に、そっと優しく唇を重ねる。

「ん………」

また、胸が何だか甘く浮くような感覚におそわれた。

(ほんとに、何……これ…王様の時だけ……)

きゅう、と王のシャツの肩をつかむ。

ゆっくりと顔を離して、見つめ合った。

桜の潤んだ黒い瞳に、胸についた火が煽られる。