デブスの不思議な旅 ~恋と変と狂愛?と~

「…いけるかもしれんな」

「へ?」

少し考えて、王が呟く。そして、桜を見てニッと笑った。

「やってみよう。今」

「え…な、何を、ですか……」

訳が分からず、ぽかんと見上げる桜にあっさり言った。

「決まっている。街に出てみるのだ。そなたと、私で」

「ええ!?」

驚いて、口を開けたまま固まる。

「……おそらく、近衛や文官の目をかいくぐることができれば、そうむずかしくはない」

「いや、でも………王様………ば、バレるに決まってるじゃないですか……」

「いや、そうでもないぞ。末端の兵士や、街の人間は私の姿を遠目には見たことはあっても、顔までは知らぬ」

「いやいや!王様はその……明らかに一般人とは違いますよ!」

こんなに綺麗でオーラがある人、街の中にはいない。

「こういう平易な格好なら、王だと思う奴などおらぬさ。……ああ、頭に布を巻いてもいいな。遠方地の民のように」

まるで新しいおもちゃを見つけた子供ような目の輝き。

「……よし。桜、少しここで待て」

そう言うが早いか、部屋を出ていった。