デブスの不思議な旅 ~恋と変と狂愛?と~

「ああ……ここは涼しくしてあるだろう?髪をおろしても良いのではないか」

少し早口になる。

「あ、そうですね。じゃあ」

パチン、とバレッタを外して、大事そうにそっとテーブルの上に置いた。

「…アスナイが、そなたに?」

「あっ……はい……」

しまった、部屋に置いてくるべきだったかも知れないと今更気づいた。

また、このネックレスの時みたいな事になったら。

小さくなってうつむく桜に、王はふっと笑ってみせる。

「大丈夫だ、分かっている。…………面白くはないがな」

気持ちを切り替えて、そっと彼女の黒髪を手ですいた。

緊張で固くなっていた体が、少しずつ解けていく。

(……気持ちいい)

小さく微笑んで、目を閉じる。

気づいたら、優しく抱きしめられていた。

「……困ったなあ。王様の手、気持ちいいから、つい」

少し顔を赤くして、苦笑いしながらもじっとしている。

その手つきがあまりに優しいから、何だかあわてて逃れるという感じでもないのだ。

「それは何よりだな」

嬉しくて、王は小さく微笑んだ。