デブスの不思議な旅 ~恋と変と狂愛?と~

「うーん………」

シュリをバカにしているようで、肯定はしたくなかったが。

「多分、三日で人知れず毒殺だ、あんなバカ」

キッパリと言い切るその言葉に、ついフフッと笑ってしまう。

「そうですね。シュリさんは馬に乗って、剣を振るってるほうが勇ましくてカッコいいかも」

すると、アスナイが顔をしかめた。

「あいつのそれは、蛮勇と言うんだ。一度、新米武官全員を二つのチームに分けて、模擬戦をやった事がある。作戦の通りに動けと言うのに、力に任せて突っ走ろうとするから、敵にやられる前に俺を含めた仲間にボコボコにされてた」

あはは、と笑う桜に、冷たく微笑んでみせる。

「それでこっちの事を冷血だのサディストだの言うんだぞ。毎度あいつの絡み酒に付き合った挙句、潰れたあいつの世話までしてやるっていうのにだ。な、救いようのないバカだろ」

「ふふふ……でも、ほんとに仲、いいですよね。夫婦みたい。アスナイさんが女房役って感じ」

そう言うと、盛大に眉をひそめる。

「……勘弁してくれ、お前にまで……」

鳥肌の立った腕を擦っていたところで、料理と酒が運ばれてきた。

(はあ……やっぱ、すごい量)

目を丸くしながら、またせっせとアスナイに料理を取り分ける。
コマネズミのように働くその姿が可愛くて、やっぱり彼も目を細めた。