デブスの不思議な旅 ~恋と変と狂愛?と~

公宮の入り口に行ってみると、アスナイがすでに待っていた。

「あ、すみませんアスナイさん、おまたせして」

少し慌ててかけよると、こちらを見て微笑む。

「いや、大丈夫だ」

行こう、と桜の手を取って歩き出した。

ごく自然なその動作に、どきりとする。

(あ……でも、王様に髪をなでられた時みたいな感じじゃない)

あの、フワフワする感じは一体何なのだろう。

(……わかんないな)

首をかしげながら、ゆるやかな長い階段を下った。

馬車に乗り込んで、王宮の門を目指す。

「アスナイさん、今日まで一泊するんですよね?」

風を受けながら、桜が聞いた。それにうなずいて見せる。

「ああ、明日の夜明け前に出れば、まぁ仕事の開始までぎりぎり間に合うからな」

「そっか……でも気をつけてくださいね。暗いし」

少し心配そうにする桜に、ヒラ、と手を振って言った。

「大丈夫だ。王都から比較的近い街だから、道も整備されているしな。馬を飛ばせばすぐに着く」

「でも大変ですね、帰ってすぐお仕事って……」

フフ、と笑って、紺色の瞳が彼女を見た。

「手を抜けるところはサボるさ。一々上のバカの言うことを真面目に聞いてたら、体がいくつあっても足りない」

涼しい顔をしてサラッと言う。

「あ、いけないんだ」

桜もつられて笑った。