「…………っ」
大股で歩み寄り、桜を抱きしめた。
狂おしいほどの幸福感に、腕に力が入りそうになる。
「ごめんなさい、変なこと言って……明日になったら、きっともとに戻ると思いますから……」
そう。きっと、こんな日もあるってだけ。
やっかいな日が。
そう桜は思ったが、王は彼女を抱いたまま頭を振った。
「……行かせたくない………」
カナンに、渡したくない。アスナイと街になんか、出したくない。
このまま優しく愛おしんで、自分を好きになってもらいたい。
初めて、はっきりと彼女から求められた。
嫌われていない。少しずつ、近づいているのかもしれない。
そんな時に、他の男となんか会わせたくない。
そこでまた楽しく過ごしてしまったら、この悪気のない鈍感娘は、せっかく芽生えかけた自分への好意をけろっと忘れてしまうかも知れないから。
はあ……とやるせないため息をつく。
今ならきっと、今日は深宮でゆっくり一緒に過ごそうと言っても、素直にうなずいてくれたかもしれない。
返す返すも、あの二人の武官への褒賞は失敗だった。
ぐぐ、と奥歯を噛んだ。
大股で歩み寄り、桜を抱きしめた。
狂おしいほどの幸福感に、腕に力が入りそうになる。
「ごめんなさい、変なこと言って……明日になったら、きっともとに戻ると思いますから……」
そう。きっと、こんな日もあるってだけ。
やっかいな日が。
そう桜は思ったが、王は彼女を抱いたまま頭を振った。
「……行かせたくない………」
カナンに、渡したくない。アスナイと街になんか、出したくない。
このまま優しく愛おしんで、自分を好きになってもらいたい。
初めて、はっきりと彼女から求められた。
嫌われていない。少しずつ、近づいているのかもしれない。
そんな時に、他の男となんか会わせたくない。
そこでまた楽しく過ごしてしまったら、この悪気のない鈍感娘は、せっかく芽生えかけた自分への好意をけろっと忘れてしまうかも知れないから。
はあ……とやるせないため息をつく。
今ならきっと、今日は深宮でゆっくり一緒に過ごそうと言っても、素直にうなずいてくれたかもしれない。
返す返すも、あの二人の武官への褒賞は失敗だった。
ぐぐ、と奥歯を噛んだ。
