デブスの不思議な旅 ~恋と変と狂愛?と~

夕方になって、ソファから王が立ち上がった。

「今日は、すまなかった…桜」

「いえ…私が最初に変なこと言ったから」

ふ、と笑って藍色の髪を揺らして首を振った。

「さて…そなたを帰さねばな」

桜をうながし、部屋を出ようとする。

「あ…お、王様」

「ん?」

思わず呼び止めたはいいものの、何とも言いようがない。

(本当に、今日どうしちゃったんだろう、私)

「あ……の…」

「どうした」

今度はきれいに微笑む。

それとは逆に、困ったような顔をして、桜は頬を染めた。

「何だか、今日おかしくて。やっぱり、胸がフワフワするんです」

「………」

少し、彼の目が見開かれた。

「あの…あの…こんな事、頼むの、恥ずかしいし、身の程知らずってわかってるんですけど……」

顔を上げられなくなって、下を向いた。

「もう一回、ぎゅってしてくれませんか……」

消え入りそうな声で、そう言う。