デブスの不思議な旅 ~恋と変と狂愛?と~

「!!」

とたんに、顔に熱が上る。

とん、と足で愛馬の腹に指示を出し、歩を進めだした。

あー助かった…と安堵の息をつく桜の後ろで、愛おしさにきゅうっと絞まる胸の痛みに唇を噛んだ。

(もう……どうしてやろうか、こいつ………)

どこかに閉じ込めて、思いきり抱きしめて、愛したい。

そんな願望が湧きあがってきて、頭を振った。

狙ってるわけではないぶん、もっとずっとたちが悪い。

はあ、と息をついて、顔をしかめた。

(こいつ…他の奴にも似たような事やらかしてるんじゃ)

その通りなのだが、それを防ぐ手立てなどない。

心の中で、頭を抱えた。



次に馬をとめたのは、本屋の前だった。

中に入ると、これまた天井まで届く四方の棚に、ギッシリと本が詰まっており、しかも二階もあるようだった。

「こんなすごいお店、よく知ってますねぇ、アスナイさん…」

感心して、きょろきょろと店内を見回す。少し笑って、一階が新書、二階が古書だと説明した。

「この店は新書もなんだが、貴重な古書がよく手に入るんだ。今では処理の仕方がわからなくなってしまった薬の材料が載っていたりする」

また、探求心に瞳を輝かせる。

「医学がお好きなんですね、アスナイさん」

桜もつられて笑った。