デブスの不思議な旅 ~恋と変と狂愛?と~

(美形って、すごいよなぁ………)

何がすごいって、今のを見たのであろう女性たち……あと何故か数人の男性達が、頬を染めて羨望の眼差しをヒシヒシと桜に注いでいたのだ。

(こういうのも、まるで映画のワンシーンみたいに受け取られるんだろうな……私がやったら公害だよ)

「アスナイさん…次のお店行きましょ、早く」

もう居たたまれなくなって、意地悪く馬をその場に止めている彼をうながす。

「そうか?焦らなくともまだ時間はあるぞ。なあ、妹よ」

きれいな微笑みで、それを流した。

(すんごい、根に持ってる………)

良かれと思ってした事なのに…。

「お願い、アスナイさん…恥ずかしいんです。皆見てる」

「そうか、何よりだ。見せつけるためだと言ったろ」

ふふん、と笑って後ろからギュッと抱きしめる。

きゃ…!とどこからか小さな歓声が上がるのが聞こえ、もう限界だった。

(ああああもう、ちょっとぉ!せめて!せめてこういう事は、こういう事はさぁ!!)

「アスナイさん……」

「ん?」

からかうような笑みを浮かべたまま、後ろから桜をのぞき込む。

「他の人に、見せないで……二人だけの時にして……」

潤んだ黒い瞳で、すがるように言う。