デブスの不思議な旅 ~恋と変と狂愛?と~

すかさず、身をかがめて彼女の唇をふさいだ。

左手は腰にまわし、右手は白い頬に添えて。

「ん……!?」

突然のことに頭が真っ白になり、危うく落馬しかける。

ちゅ、と音を立てて温かな舌が桜の口内を弄び、しばらくしてそっと離された。

「にゃにゃにゃ、にゃにしてるんですか、こここんな、道の真ん中で!うう、馬の上で!がっつり見られるじゃないですか!!」

混乱と恥ずかしさのあまり、もはや青くなって目を回す。

「見せつけたんだ。お前が不愉快な事を言うからだ」

きゅっと唇に着いたグロスを親指で拭き取って、クスリと笑った。

「もう!」

その仕草さえいちいち色っぽくて、桜はぱっと前を向き、深くフードを引っ張った。その下で、ボワボワと赤くなる。

今まで抱いてきた彼のイメージは昨日から壊されっぱなしだった。

凛としていて、表情があまり変わらない、理知的で冷静な人。
誰かに心を許したり、深い情を持つにいたるまでが、とんでもなく難しい人。
が、一旦好意を持ったら、ある意味誰よりも一途で情熱的なのかもしれない。

(それが今分かっても!!振り回されるしかないよ!だって、アスナイさんと私じゃ経験値が違うんだから!)

現に、今こうやって自分はフードをかぶっていても顔も上げられないのに、後ろのアスナイは涼しい顔。

キス?ええ、好きだからしましたが何か?と言わんばかりだ。