デブスの不思議な旅 ~恋と変と狂愛?と~

馬に揺られながら、ただならぬ不機嫌な空気を後ろから感じる。

「あの…アスナイさん」

「何だ」

低い声で、短く答える。

「何か、怒って……ますか」

「ほう?何でそう思う」

冷たく問われて、ごく、と喉をならした。

「ええと……兄、って言ったから?」

「なるほどな。それが分かってて言ったのか。俺がどういう気分になるか、了解した上で」

正解しても間違っていても、結局責められる。
桜はたじたじだった。

「あの、私なりに考えた結果だったんですけど……」

「?」

「私、こういう髪と瞳の色、してるじゃないですか。だから万が一を考えて…。こないだカナンと街に一日遊びに出たとき、皆に夫婦と間違われたんです。その時に、『皆からそう見えるんだったら、それに合わせたほうが無難だ』ってカナンが言ってて、だから……」

「その日一日、あの金髪と夫婦のようにふるまったというわけか」

「まあ……普通に一緒にいただけですけど」

「そうか。………桜」

アスナイの呼びかけに、その顔を振り仰ぐ。

「?はい」