デブスの不思議な旅 ~恋と変と狂愛?と~

「まあまあ、アスナイさん。そう邪険になさらず。妹さんが嫁がれたりしたら、もう一緒に買い物なんか出来ませんよ」

「……………」

一層ムカムカしながら、馬にまたがる。

痛がるのも構わず、グイッと乱暴に桜の腕を引き上げた。

「あ…あの……アスナイ様……」

おずおずと、赤い顔のリンナが馬上に顔を向けた。

「ん?」

「こっ…これから暑くなりますから……たくさん、薬草が採れる時期です。で…ですから、また、近いうちにいらしてくださったら、品が揃っていますから……」

精一杯のリンナの言葉に、すっと瞳を細めて、微笑みを貼り付ける。

「ありがとう。薬草は干しておいてくれ。いつになるか知らんが、来れるときに来る。その時品が揃ってなければ、それはそれで仕方ない」

そう言うと、主人に「ではな」と一言残し、馬を歩かせ始めた。

遠くなっていく後ろ姿を見送りながら、主人は孫娘に言った。

「……あきらめなさい。負け戦だ。あの方は『妹さん』以外目に入っていない。他の娘が入り込む余地はないよ。かわいそうだが……お前にもね」