デブスの不思議な旅 ~恋と変と狂愛?と~

桜は棚の商品を眺めながら、そんな三人の様子を見た。

(久しぶりに会ったんだな。……私がいたら気を使うかもだから、軒先の商品でも見とこ)

そっとその場を離れて、店の外に並べられた薬用のキラキラした鉱石や、山と積まれたカエルやヘビの干物を目を丸くしながら見ていた。

相変わらず、人の量が多い。この店は大路に面してはいないところだが、それでも様々な人間がごったがえしている。

ふっと、目線を右から左へ移した。


―――それはいた。


流れる人馬の中、まるで透明人間のように静かにたたずむ人影。

背が高く、フードを目深にかぶっていた。


「!!」


桜の目が見開かれ、凍ったように固まる。

にい、とフードの陰からのぞく白い口もとが笑った。

ゆら、とまるでごった返す人混みなどないかのように、こちらに向かって歩いてくる。

たちまち冷や汗が顔を伝うが、逃げたい心とは裏腹に、足が全く動かなかった。