デブスの不思議な旅 ~恋と変と狂愛?と~

そう思って、また歌を口ずさみながら入り口に目を向ける。

「えっ」

灯りを持った人影が立っていた。

光を受けてキラっと艶が揺れる、その金髪。

「カナン……?」

その声に、ネコのような緑の瞳がこちらに向けられる。

「桜…」

「な…何で……」

驚いて急いで駆けよると、二、三度まばたきして、少し目を伏せた。

「灯、入れに来るって言っただろ」

そう言って、宮の中に入る。戸口で履物を脱いで、一つ一つ灯をともしていった。

ゆっくりと、部屋が明るくなっていく。

間もなくすべての灯を入れ終わって、桜のところに戻ってきた。

「あ…ありがとう」

「…………ん」

なんとなく気まずくて、二人とも落ち着かなくソワソワと向かい合って立っていた。