デブスの不思議な旅 ~恋と変と狂愛?と~

すっかり夜だ。
月明かりが照らす中、公宮の裏の階段を上る。

裏口から渡り廊下に降りて、てくてくと歩き始めた。

また、『Fly me to the moon』を口ずさむ。

本当に、この見事な夜空は見飽きない。

(うーん…ロマンチックだよなーこの歌……こんな歌が似合う恋愛できたらなあって思ってたっけ…まあ無理なんだけどね)

自嘲ぎみに、自分の二の腕をむにっとつまんだ。

まだ頭がフワフワする。

はー……と息をついた。

(もーどうしよっかな……私………)

アスナイの熱を帯びた眼差しを思い出して、ふわっと顔が赤くなった。

(あんな、冷静で理性的な人が……あんな…あんな……)

まるで調教のように告白を受け入れさせられた。

ふるふると恥ずかしさを振り払うように、頭を振る。

そうしているうちに、客用の宮が近づいてきた。

(カナン……)

いるわけないよね、きっと。

とっさにしたこととはいえ、王様と比較して責めるなんて、ひどいことをした。

ちょっと暗いけど、メイクだけ頑張って落としてすぐ寝よう。