デブスの不思議な旅 ~恋と変と狂愛?と~

そっと桜を助け起こして、自分の胸に頭をもたせかけた。

まだ赤みの引かない頬で、ふにゃ、とされるがままになっていた。

「アスナイさん……ひどいです……すっごく、恥ずかしかった……」

まだ少し震える手で、トン、とアスナイを叩いた。

「こうでもしないと、お前は分からないと思ってな」

クスリと笑って、ぎゅっと抱きしめる。

「…もう、だからって……」

「うるさいな。もう一度して欲しいのか」

微笑みはそのままに、片手で桜の顎を持ち上げて紺色の瞳を細めた。

あわてて首を振る。

そんな様子に少し声をたてて笑い、黒髪をゆっくりとなでた。

「……ほんとに、慣れてるんですね…アスナイさん。女の人に」

少しずつ熱が引いてきた桜が、ぽつんと呟いた。

ちろ、と自分を見上げた黒い瞳。

「……………」

眉をひそめて、それを見つめ返した。

「……何を思ってるのか知らないが、あくまで付き合いの範疇で、金で契約した女だけだぞ」

「付き合い、って、お仕事の?」

「ああ」

「……じゃあ、もし仮に、私とアスナイさんが結婚しても、お仕事の付き合いなら、平気で他の女の人にこういう事するんだ」