デブスの不思議な旅 ~恋と変と狂愛?と~

「いや!!やだってば!!」

ガタガタと震えながら、裸の体をかばうことも忘れて、なおも小さな槍をめちゃくちゃに振り回す桜。

その姿を観客は指をさして笑う。狂ったような歓声を上げる。

極度の緊張と恐怖で、ハアハアと息をつきながら、桜は思った。


そうだ、この人たちは…私とこの獣の戦いが見たいんじゃないんだ。

私が、この獣に食い殺されるのが見たいんだ。

でも、あっさり殺されちゃったら、つまらないから。

わざとこんな役に立たない武器を与えて、必死に、無様に抵抗するのを見て、でも結局最後は殺されていく様が見たいんだ。

わずかな希望も、命も奪われる瞬間の、人間の断末魔の表情が。


クラクラと、この会場に満ちる狂気が桜の頭をゆさぶった。


死ね。死ね。たっぷりと絶望して、獣のエサになってしまえ―――

お前には、それが似合いだ、この、醜女!!