デブスの不思議な旅 ~恋と変と狂愛?と~

「いやっ、やっぱりダメです、恥ずかしい」

ぶんぶんと頭を振った。

「………なら」

突然プチンと音がして、桜のケープが取られた。

「わっ!」

慌てて取り返そうとしたが、さっさとアスナイはそれを自分の横に放り投げてしまった。

急いでストールをはおる桜。

「もう、アスナイさん!」

じたばたと抗議をするが、桜の額に人差し指を押し当てて笑った。

「お前が教えないからだ。…もっとも、女が男の頬を張る理由で、恥ずかしくて言えないということは、まあ大体想像できるがな」

その微笑みを少し意地悪に歪めて彼女を見た。

(う……)

思わず顔を染めて、下を向く。

「ほら、赤くなった」

「もう……あんまりからかわないでください。アスナイさんと違って、私こういうのに余裕を持って返せないんですよ」

困って小さく言う桜に、ふと笑いをおさめて紺色の瞳を細めた。

「………余裕か」

そんなもの、あるわけないのに。