デブスの不思議な旅 ~恋と変と狂愛?と~

しばらく馬で大路を進み、少し裏の通りに入ったところに、その店はあった。意外と大きいが、ちょっとした隠れ家のような雰囲気だ。

馬を客用の厩に繋いで、二人は店内に入った。

「いらっしゃいませ。中がよろしいですか?今なら外も空いてございますよ」

にっこりと笑う店員に、

「では、外にしてくれ」

うなずいて、桜の手をごく自然に取って歩き出した。

「外、って、どういうことですか?」

不思議そうに聞く桜に笑ってみせる。

「行けば分かる」

店内の階段を上がって、二階へ。そこもまた通り過ぎ、天井の小さな扉を開けると、店の屋上へ出た。

「…わあ」

少しずつ夜に向かう空の下、木材と布で作られた個室がある。中に入ると敷物が敷かれていて、四隅には照明があって、二人がけのソファとテーブルが置いてあった。

天井はなく、夜になると二つの月と満天の星空が見えるのだろう。

「すごい、何だか贅沢ですね」

「静かだからな。空いていてよかった」

「…皆さん、よく知ってますねえ、いろんなお店……」

……皆さん。

苦い思いを、頭を振って打ち消す。