デブスの不思議な旅 ~恋と変と狂愛?と~

誰か、彼女を磨き、花開かせようとしている人間がいるらしい。

(……余計な事をしなくていい)

心の中で、その人物に文句を言った。

(磨くんだったら、この娘が俺を選んでからにしろ)

この白い肌も、豊かな表情の黒い瞳も、流れる黒髪も。

そして、その優しさと、自由でしなやかな心。

全部、自分が手に入れてから。

主君も今朝言っていたが、本当にこんな女は二人といない。

「…連れていきたい。必ず」

思わず呟き、また桜がこちらを見た。

「え?」

「何でもない。独り言だ」

薄く笑って流した。

「そういえば、どこに行くんですか、アスナイさん。ごはん屋さん?」

「ああ、ちょっと面白いところがあってな。静かに飲めるから」

そう答えながら、よどみなく馬を進めた。