デブスの不思議な旅 ~恋と変と狂愛?と~

王宮の馬車に揺られながら、桜はケープをはおった。

(最初から、これはおっとけばよかったな。何で気づかなかったんだろ)

そうしたら、カナンとあんなつまらない喧嘩なんかしなかっただろうか。
少し気分が重くなった。

「桜。そういえば、あの赤髪のバカは来たか」 

思い出したように、向かいに座るアスナイが尋ねた。

「え…シュリさんの事ですか?ええ、それこそ昨日がお休みだったんですよ」

「…そうか」

微妙な笑みを浮かべて、アスナイは脚を組んだ。

「残念でしたね、入れ替わりみたいになっちゃって。あと一日ずれてたら会えたのに」

そう言う桜に、グレーの髪を揺らした。

「バカ言うな、幸運だった。あいつと飲むと金だけかかって鬱陶しいぞ。俺はお前に会いに来たのに、ゆっくり話も出来やしない」

「そ、そうですか」

サラッと言われて、少し顔を赤くした。

「あ、でも……ごはん連れてってもらいましたけど、そんなひどく絡んだりとかはなかったですよ。酔ってはいたけど………」

そこまで言って、あの告白を思い出した。

好きだ、仲間や兄のようではなく、男として見てくれと。

揺れるブラウンの瞳が脳裏をよぎり、一気に頬を赤くしてうつむく。

そんな桜の様子を、静かに見つめる。