デブスの不思議な旅 ~恋と変と狂愛?と~

少し中性的な美貌を微笑みにして、桜を見つめた。

「お久しぶりです…」

嬉しい再会なのに、とんだところを見せてしまった。
バツが悪そうに笑う彼女を、少し体を引いてまじまじと見る。

「……たった十数日会わなかっただけなのに、ずいぶん変わるものだな」

同僚が聞いたら驚愕するような優しい声で、そっと漆黒の髪をなでた。

「あ…いえ……今日は特別似合ってないのを着ちゃってて……すみません、せっかく会えたのに、こんな見苦しい格好で」

恥ずかしくて、小さくなった。
するとアスナイかフッ、と笑う。

「何言ってんだ、相変わらずだな桜。美しくなったと言いたいんだ」

他人には皮肉屋で素直ではない彼も、桜だけは別だった。
とたんに、ボワッと首まで赤くなる。

「や、や、やめてくださいアスナイさん!私、変わらずデブスなんですから。そのくせ、よりによってこんなの着ちゃって」

あわあわとケープをはおろうとする。
そっとそれを押しとどめて、少し目元を染めた。

「いや、よく似合っている。……この時間からの外出にはぴったりだ」

「あ、ああありがとう、ございます……」

「本当だぞ。……もし、今のお前にこれと逆な事を言うやつがいたら……そいつの目は節穴か」

うつむく桜にわからないよう、凍りついたように動けないカナンの目をピタリと見据えた。

「嫉妬に任せてバカな事を言い散らす、ケツの青いガキかだな」

声を立てずに冷笑し、「行こう」と桜の手を取って出ていった。