デブスの不思議な旅 ~恋と変と狂愛?と~

「カナン?どうしたの」

ものすごく素っ気ない態度に、不安になった。

(昨日の夜とは、別人みたい)

そう思ったとき、昨日彼にされたことがぶわっと頭の中によみがえって、たちまち桜は顔を赤くした。

一方で、カナンは桜の方を見ずに、まっすぐ前を見て歩いている。
むつっと結ばれた唇は、一言も発しない。

「な…何か、怒って、る?」

おどおどと聞くと、低い声がボソリと聞こえた。

「…………その、格好」

「え、あ………」

「もう少し、マシにならないのか」

グサッ。

「あ………や…やっぱり、見苦しい、かな………」

恥ずかしくなり、ストールを寄せて小さくなった。

チラ、と目線だけ動かして、彼女を見る。

白い首、胸元、そして背中の中ほどまでが惜しげもなくさらされて、眩しいほどに淡く輝いている。

黒のシンプルだが完璧なラインのワンピースが、却って桜の少女っぽさも引き立たせて、下品ではないがなんとも絶妙な色気を出していた。

シディが『腕試しと代理戦争』と言い切るのに恥じない仕事だった。