デブスの不思議な旅 ~恋と変と狂愛?と~

控えの間に戻り、すぐに体にまとわりつくアクセサリーをむしるように取っていく。

その顔はしかめられていた。

今日と明日、アスナイが桜と会う。
そして、神児も桜と会いたいとわざわざ直接自分に言付けてきた。

カチャ、と何本目かのブレスレットを外して盆に置いた。

苛立ちが、また心を黒く染めていくようだ。

(邪魔な………)

どいつもこいつも。
まるで自分だけが愛しんでいる花の、ほころんだ蕾に次々に群がる羽虫のようだ。

花の方も、惜しげもなく自分の蜜をくれてやろうとするから、一層腹が立つ。

紫の瞳が、心の中を映し出すように闇くなった。

その首に何重かにかけられている首飾りに手が伸び、手早く一つずつ外していく。


甘い香りも、咲き誇る姿も、自分だけに見せればいい。
それでもまだ羽虫がまとわりつくようなら………


最後の二つの首飾りが、首の後ろで絡まっていた。

苛立ちからなのか、なかなか解けない。

思わず大きく舌打ちして力任せに引っ張ると、ブチッという嫌な音がして、千切れた二つの首飾りが宝石を散らしながら派手に床に落ちた。

それを見てはっ、と我にかえる。

瞳にいつもの聡明な光を取り戻した王は、背中に冷や汗をかいた。

私は今、何を。

頭を強く振って、逃れるように部屋を後にした。