デブスの不思議な旅 ~恋と変と狂愛?と~

「……はい」

一瞬シュリと同じように眉根を寄せたが、すぐに頭を下げた。

「汝ら、いくら桜と会えるとは言え、月3回も遅い時間に赴任地を発つのは負担ではないか?軽くしても良いのだぞ」

王は言った。

アスナイは顔を上げ、二三度まばたきしたが、静かに首を振った。

「いえ……桜に会えるなら、もっと増やしてもいいくらいでございます」

……冗談ではない。

そう言いたくなるのをこらえて、王はまた笑顔を作った。

「そうか……あれの話は実に興味深いぞ。それに、こちらが想像できないような事を言う。……あんな娘は、二人といるまいな」

思わず、優しく愛しげな表情が一瞬むき出しになった。

アスナイの目線に気づいて、すぐにまた仕事の微笑みをうかべた。

「だから、汝ら二人には礼を言いたいのだ。予の……客人を連れてきてくれたからな」

だがアスナイはすぐに、王が今桜をどう思っているかを悟った。

(………まずいな)

最初の考えでは、誰にも興味を持たない主君は、すぐに桜に飽きて、王宮の外に出すと思っていた。だが、現実は全くの真逆らしい。

早く、彼女に会いたかった。