にこにこと笑う二人の顔は、好奇心に輝いている。

何しろ、アスナイの最近の女性の振り方は冷酷を極めていたため、ついにアッチに目覚めたのかという噂が密かに流れるほどだったのだ。

以前もバッサリと断ってはいたが、理由も説明していた。
まあ、ぐうの音も出ない感じだったのだが、最近は、

「お前には興味ない。今後もない。失せろ」

の一言だった。

その彼が、こんな夜に嬉しそうに会いに行こうとする女。

彼らでなくとも俄然興味が湧いてくる。

苦笑いして歩き出すアスナイを追って、同僚は聞いた。

「なあ、どんな女だよ?そんじょそこらの娘とは、訳が違うんだろ?」

「すっっげえ美人なんだろ。でもって料理の腕も抜群で、スタイルも信じられないほどいいんだろ」

妄想をたくましくする彼らに、足を止めたアスナイはくるりと振り返った。

「そんな女、足元にも及ばないほどいい女だ。自由な心としなやかな精神を持つ、本当に美しい娘だ」

サラリと熱を帯びた言葉を残して、びっくりして固まる二人を残し、宿舎を後にした。