微妙な微笑みを浮かべて、バッグのストラップを肩にかけた。

「女じゃないとすると……やっぱり薬とか本か」

うーん、となぞなぞを考える子供のような同僚に、もう一人が言った。

「いや、そうでもねーぞ。本当に欲しい女ができたから、それ以外はどうでも良くなったとも考えられるぞ」

思わず固まる。

その言葉に、首をかしげていた同僚がはっとした顔になった。

「あ、そういやあアスナイ、お前が旅から帰ってきてすぐに野党団の掃討をした時、そこでお前に言い寄ってきた村娘をまーこっぴどく振ったらしいな」

「……何でそんな事知ってんだ………」

呆れてグレーの頭をかく。

「何でもその時、お前の好きな女を引き合いに出してたらしいじゃねーか」

アスナイは、あの時見回りに来た二人の別の同僚を思い出した。

……あの二人か。まったく。

「嘘だと思って信じなかったんだが………そおおか、お前の女は王都にいるのか」