デブスの不思議な旅 ~恋と変と狂愛?と~

ぐぐ、と桜を抱く片腕に力を込めた。

「んんー!」

痛みに、じんわりと目尻に涙が溜まる。

顔の角度を変えながら、何度か深く彼女を貪ったあと、はあ…と息をついて、唇を離した。

「痛い…シュリさん…」

ひっ、としゃくりあげる桜を、切なげに見る。

「お前が、あんな事言うからだ」

震える声で、髪をつかんでいた手をゆるめた。

「イイ人扱いなんか、御免なんだよ」

白い首筋に、顔を伏せ、今度はぎゅっと抱きすくめる。

ぐす、と鼻を鳴らし、まだ少し息が上がっているらしい桜の胸の動きを感じて、チリ、と罪悪感が心を炙った。

「…………」

しばらく、二人とも何も言わなかった。

ややあって、

「悪い……桜…………痛い思い、させて……」

蚊の鳴くような声で、シュリが顔を伏せたまま、謝った。

「好かれるどころか、嫌われるに決まってるよな」

ふっ、と自嘲する。

「でも……好きなんだ、本当に」

声を絞る。

「単なる仲間としてじゃなくて、男として見てほしい」

「シュリさん……」

「あのいけ好かねえ文官だって、待つんだろ?俺も待ってるから。だから…考えてくれ」

精一杯の言葉が、桜の胸に迫った。