デブスの不思議な旅 ~恋と変と狂愛?と~

「送ってくださって…ありがとう、ございます」

顔を上げられず、それだけをやっと言った。

「………」

うつむいていて、シュリの表情はわからないが、薄暗がりの中、じっと自分を見ているのは分かった。
しばらく二人、そのままたたずむ。

「………俺は、だめか」

低い声が、かすれ気味に聞こえた。

「え」

桜が思わず顔を上げると、少し顔を歪めて、自分を見つめる彼が目に飛び込んできた。
なんだか少し泣きそうな表情だ。

「王や、あの文官のように、お前に考えてもらうことすらも…できないのか?」

「あ…の」

「王やあの文官はそういうふうに考えられても、俺のことは…仲間や兄のようにしか、見えないか」

ゆっくりと、シュリは桜の頬へと両手を伸ばした。

「桜」

どこか、すがるような声。

パサリ、とフードが落ちる。

「シュリ…さん…あの…あの………」

徐々に熱を持つ自分の頬。

「何で、何で私なんですか…シュリさんにとって、私はお仕事で……きっと、周りにいくらでもシュリさんのこと、好きな女の人……」

「しらねえよ、そんなの」

吐き捨てるように言って、また桜を腕に抱く。

「他の女なんか、欲しくない。気づいたら、お前が可愛くて、手に入れたくてたまらなくなってた。それだけだ」