デブスの不思議な旅 ~恋と変と狂愛?と~

カツカツと、夜の王都を青紫の馬が進んでいた。

昼とはまた違った魅力的な賑わいを見せる街の中、その馬上には背の高い赤髪の青年と、フードを深くかぶった少女が乗っている。

桜はまだ、信じられない気持ちが胸に渦巻いていた。

まさか、シュリにあんな事を言われるなんて。

アスナイと一緒で、この世界での味方で、その存在が心強くて。
友達ではないが、頼りになる先輩のような、兄のような人だと思っていた。

そんな人から、いきなり自分を異性として見ていたと告白されて、戸惑いがなかなか消えてくれない。
王やカナンと知り合うよりも前から一緒に旅をしてきたから、そのショックは二人に告白されたそれよりも大きかった。


「――う、嘘………」

店の個室の中で、呆然と呟く桜に、ますます腕に力を込めて、

「嘘じゃない。嘘でこんなこと言わねえよ。お前と旅をしていた時からずっと、お前が好きだ」

低い声で、そっと呟いていた。


(どうしよう)

フードの下で、きゅっと目をつぶった。

ずっと、こうやって一緒に馬に乗っている間も、自分を見ていたんだろうか。

全然、気付かなかった。