外に出ると、満天の星空に、大きな白い天体が輝いている。

その美しさに思わず息をのんだ桜だったが、目の前の光景に、全く違う意味で声を失った。

桜が閉じ込められていた檻よりもずっと大きなそれが、6本のかがり火に照らされていたのだ。

大きさは、桜の家の自分の部屋が二つは余裕で入るだろうか。高さは彼女の身長よりも40㎝は高い。

太い鋼鉄のような金属の棒でできており、床の部分は土にしっかりと埋まっている。

そして――巨大な檻の左右にあつらえた座席らしきところで、物を食べたり飲んだりしながらガヤガヤと騒ぐ大勢の者たち…

異様な空気に、桜は一歩、後ずさった。

ところがすかさず後ろの男にドカッと背中を蹴られ、前につんのめって倒れてしまう。

「い…っ」

背中と、とっさに顔をかばった腕の痛さに顔をしかめると、再び髪の毛をつかんで、引きずられるように檻のほうへと。

よく見ると、客が座っていない檻の面は扉になっているらしく、男がガチャンと重そうにそれを開けた。

「まさか…や…っ!!!」

身をひねって逃げ出そうとした桜だったが、男は無理やり巨大な檻の中に放りこんで、再び鍵をしめた。