デブスの不思議な旅 ~恋と変と狂愛?と~

「……そうかよ」

ここで初めて、シュリは桜を見た。

ひそめられた眉。揺れるブラウンの瞳。きゅっと結ばれた唇に、桜は驚いた。

「……シュリさん?」

目をしばたかせて、その表情の変わりように戸惑う。

「……じゃあ、俺も、俺のことも、考えてくれるんだな?」

「え……えっ?」

どういう意味、と尋ねる前に、シュリの温かい腕が、桜の後頭部と腰にまわされる。

そのまま力強く抱き寄せられて、その胸の中に閉じ込められた。

「あ……!?」

ぎゅっ、と抱きすくめられて、体が固まった。

「好きだ……桜」

「!」

すり、と頬を寄せ、耳もとで告げる。

「王より、あの文官より、俺の方が先にお前の事、好きになったんだぞ」

「えっ……え?!」

徐々に顔が染まりながら、頭の混乱が深まっていく。

「お前が好きなんだ。お前しか、欲しくない。お前にしか、優しくなんかしない」

「シュ…シュリさ…………」

また、腕に力を込めた。桜の熱も、逃したくないと言うように。