デブスの不思議な旅 ~恋と変と狂愛?と~

馬に乗って、食事をする店まで行く間、シュリは言葉少なだった。

(あいつ………)

明らかに、桜との仲を見せつけて自分を挑発していた。

あの気性で、なんで文官なんかやってんだ。
しかも、自分の桜への気持ちもとっくに見抜いている。

もしあいつが武術に優れていたなら、優秀な武官だったろう。

「……桜、あいつ何者だよ」

ムカムカと悔しさが胸にこみ上げて、彼女の後ろ姿に問いかけた。

「カナンですか?王様の近侍です。シュリさんもアスナイさんと謁見した時会いましたよね。あ、でも剣も強いんですよ。馬にも一通りは乗れるって言ってたし」

「……仲いいんだな。あいつだろ。お前の事が好きだって、言ってきたの」

低い声で、シュリは言う。
桜のフードの後頭部がピクリと反応し、小さくうなずいた。

「はい……」

店に着き、シュリはいつものように桜に手を差し伸べて、片手で彼女を抱き寄せて降ろした。

昨日とはまた違って、もう少し静かな雰囲気の居酒屋だ。

さっそく店員がやって来て、にこにこと二人を通した。

「仲がおよろしいですね!ご兄妹ですか?」

昨日、あの近侍とは夫婦に見られたという桜の言葉を思い出して、いっそうムカッとした。

「違う」

思わず尖った声が出た。