デブスの不思議な旅 ~恋と変と狂愛?と~

カナンと渡り廊下を歩きながら、「乗馬、教えてもらうことになったよ」と話すと、驚いた顔をされた。

「よく、我が君がお許しになったな」

「………」

「いや……お前のたっての望みなら、お許しにならないはずないか」

ネコのような瞳が、チラリと桜を見た。



客用の宮に寄って、桜はフード付きのケープを取ってきた。

「今日も、あの武官と出かけるのか?」

ポツンと、カナンが聞いた。

「うん、明日の明け方、また赴任地に戻るんだって」

「……そうか」

しばらく沈黙した後、また口を開く。

「……お前…あの武官に何か言われたか」

「えっ?」

二人の告白を断れよと言われた事を思い出し、桜は思わず足を止めた。
その小さな動揺を、少し苦しげに見つめる。

「なんて、言われたんだ」

聞いてどうする、傷つくだけなのにと思いながら、やっぱり聞いてしまう。

しばらく目線をさまよわせていたが、意を決して口を開いた。

「王様と…カナンの気持ちに、私がまだ応えられないのは、きっと二人をそういう対象として見てないからだ、って。だから、断れって言われたの」

思わずカナンは緑の目を見開き、グッと奥歯を噛んだ。

―――あの野郎。

許されるなら、ぶん殴ってやるものを。