デブスの不思議な旅 ~恋と変と狂愛?と~

さすがに落ち込んでいるらしく、まだ顔も上げる気配がない桜。

もう十分だろう、やり過ぎではないかと思う自分と、このくらいしないと、この娘の場合、お灸をすえたことにならないと思う自分が戦い始めた。

また、桜の様子を見た。

変わらずに、小さくなっている。

―――あんまり突き放して、後悔しないのか?嫌われるかも知れないぞ。
嫌いまでしなくとも、許してもらうことをあきらめたら、お前の情にすがってまで王宮にとどまりたいなんて、言うと思うか?この娘が。自由になったこの娘を、あの三人が放っておくと思うのか。

「…………っ」

ハアァ、とため息を盛大に天について、王は身を起こした。

「………桜」

そっと呼びかけた。少し顔を上げたが、振り向かない。

「…何の仕事がしたいのだ。考えてあるのか」

結局こうなる。王だろうが何だろうが、好きになってしまった方が負けなのだ。
完全に降参モードで、つとめて優しく語りかけた。

「いえ…もういいです。すみませんでした」

そのあきらめの言葉に、ぎょっとして焦った。
まずい。やり過ぎた。

あわててその腕を取り、引き寄せて自分の腕の中に閉じ込めた。