デブスの不思議な旅 ~恋と変と狂愛?と~

ふふ、と何か楽しいことを見つけたように笑う桜。

その笑顔に思わず胸が高鳴って、ぱっと前を見た。

「一通りはな。錬成所に行った訳ではないから、武官ほどの馬術はないが」

「そうなんだ。あのね、私もね、馬に乗ってみたいの。だから、王様に相談してみようと思うんだ」

「お前が!?」

緑の目を見開いて、まじまじと桜を見た。

「いや……何、言ってんだ。お前女じゃないか」

「そうだよ。なんで女は馬に乗っちゃだめなのよ?」

またかと言わんばかりに眉をひそめて、桜はカナンに聞いた。

「何でもなにも……常識だろ。危険だし、体に傷でも作ったらまずいし、そもそもそんな格好で自由に馬は操れないぞ」

困惑する彼に、うん、とうなずいてみせる。

「だから、パンツをはくよ。ブーツもね」

「は!?」

宇宙人でも見るかのような表情に、改めて自分とここの世界の違いを思った。

「そんな、変なこと言ってるかな」

桜の戸惑いに、迷わずうなずく。

「やめとけ。危ない。何かあったらどうすんだ」

「カナンとも一緒に、遠乗りできると思ったんだけどなあ」

一緒に遠乗り。

魅力的なその言葉に、カナンは言葉を飲み込んだ。

「……我が君が、お許しなさるか。かなり厳しいと思うけどな」