デブスの不思議な旅 ~恋と変と狂愛?と~

公宮裏門の下に着いて、お礼を言って馬車を降りる。

長い階段を上っていると、丁度カナンが出てきた。

「あ…カナンだ。カナン!」

下から呼ぶと、金髪の頭が動いて、少し驚いたような顔をしてこちらを見た。

桜が渡り廊下の入口までつくのを待って、並んで歩きはじめる。

「ちょうど、お前を迎えに行くところだったんだ」

「あ、そうなんだ……結構ギリギリだったな」

少し胸をなでおろす。カナンは、そんな桜をちらりと横目で見た。

「……出かけてきたのか、あの赤い髪の武官と」

「あ、うん。遠乗り行ってきたよ。久しぶりに王都の外に出たの」

「そう、か……」

それきり、黙りこくった。

もう、桜は告げられたのだろうか。あの武官の思いを。

見る限り、いつもと変わりない様子だが。

確かめるのも、何だかできない。

悶々としていると、「あ、そうだ」と桜が思い出したようにこちらを見た。

「ねえ、カナン。馬、乗れる?」

突拍子もない質問に、緑の瞳をしばたかせた。

「何だ?…いきなり」