デブスの不思議な旅 ~恋と変と狂愛?と~

「王都の外に出たの、久しぶりでした。ありがとうございます」

帰りの馬上で、桜はシュリを振り仰いだ。

「…ああ、うん」

はにかんだように笑う。

さっきから、彼は言葉少なだった。

(早く言わねーと)

桜に、自分の気持ちを。もう王都の大路も半ばを過ぎ、薄っすらと王宮の門が見えてきている。

本当はさっき、丘の上で頃合いを見計らって言うつもりだったのだが、どうしてもタイミングが合わなかった。

(幸か不幸か、意外と話が弾んじまったしなー)

しかし、こんなガヤガヤした所でサラッと言うものでもないだろう。

この鈍さだ、告白された事に気づかないかも知れない。

(…今日の夜しかないか……)

目の前のフードの後頭部を見ながら、息をついた。

考えながら馬をすすめ、王宮の堀に着いた。

橋を渡りながら、桜が聞く。

「シュリさん、また夕方、会えますか?」

他意はないとわかっていても、その聞き方にドキリとした。

「ああ、また、公宮の出入り口に迎えに来る」

そう言って、門の所で桜を馬車に乗せて別れた。