デブスの不思議な旅 ~恋と変と狂愛?と~

「……シュリさん、また…たくさん買ってきましたね」

一緒に包みを開けながら、桜ははたと思い至った。

(あ、これ…ピクニックだよ)

ふっと、王の顔がよぎる。

お庭でやってみませんかという自分の提案に、嬉しそうにうなずいたあの笑顔を思い出し、胸がきゅっとした。

今頃、お仕事をしてるのかな。

その最中に、図らずも先にシュリとしてしまった事に、何だか後ろめたさを感じた。

「…どした、桜?」

シュリが、手を止めてしまった彼女をのぞき込んだ。

「あ…いえ。シュリさん、こうやって外にお出かけして、お弁当食べて帰ってくるのって、よくすることなんですか?」

あわてて質問でごまかす。

「よく…はしないな。ほんとに、遠駆けのときくらいか。馬に乗らない人間は、やったことないんじゃねーか」

「やっぱりそうなんですか」

「『魔』に見つかっちまったりしたら、剣や体術の心得がない限り命はないからな。基本的に、こっちの人間の一番簡単な安全対策は、『人のいる場所から離れない事』なんだよ」

「なるほど」

妙に納得して、おかずを口に運んだ。

人間を日常的に捕食する存在なんて、自分の世界にはなかった。それだけで、こっちの世界はかなりシビアなものだ。

さっきの、街中で感じたあの冷たい気配の恐怖。

口ぶりからすると、カナンと外出した時にすれ違った、あのフードの人物なのだろうか。

シュリにわからないくらいに、ぶる、と体を震わせた。