「こういう宿屋は、大抵の情報は入ってくる。俺たちのような客に商品として売るためにな。それでもこれだけということは、まあほぼ間違いないだろ」

「なるほどな。お前やっぱ頭いいな」

腕を組んでニコニコと笑う素直な同期に、アスナイは苦笑した。

「笑ってる場合か。もう夜が来た。その男のような人間が活動するのは、日が暮れてからと決まっている。早く南区へ行って、その者を探し出さねば」

「そうか。急ごう」

俄然、やる気を出したシュリは、残りの茶をぐいっと飲み干す。

宿の主人にランプを借り、馬をひいて二人の武官は夜のキトニの街へ出て行った。